「治す人」ではなく、
“治れる身体に戻す人”でありたいと思って、この仕事をしています。
私はもともと会社員で、自宅で趣味として小籠包教室を開いていました。
あるとき、広島から新幹線に乗って、わざわざ来てくれた生徒さんがいました。
小籠包は、中のスープ(ゼラチン)が多いほど、
包むのが難しくなります。
「まずは包めるようになってほしい」
そう思って、私はあえてスープの量を減らしました。
結果、ある程度、包めるようにはなりました。
でも、その方は
「スープがあふれなかったこと」にがっかりして帰っていきました。
そのとき、お金をいただくことの重さを、私は初めて実感しました。
中途半端なものではだめだ。
本気で向き合わないと、
人の期待は簡単に裏切ってしまう。
そう思って会社を辞め、
小籠包店2店舗で修行しました。
「究極の一品」を作りたくて、
次は栄養の世界にも興味を持ち、
栄養管理士を目指しましたが、
ご縁がなく、その道には進めませんでした。
その後、健康には興味があったものの、
実は鍼灸を受けたことすらない状態で、
この世界に飛び込みました。
正直、最初は
「自分にできるのか」と不安もありました。
でも今は、
この仕事を天職だと思えるほど、
本気で楽しく向き合っています。
私が目指しているのは、
その場だけ楽にする施術ではありません。
・なぜ戻るのか
・なぜ治りきらないのか
・何が回復を邪魔しているのか
それを評価し、
“治れる条件”を整えることを、
一番大切にしています。
だから、
ただ受け身で「何とかしてほしい」だけの人には、
正直、向いていません。
本気で治したい人。
自分の身体と向き合い、
必要なら運動や生活の見直しもしていける人。
そういう人と、
本気で一緒に向き合いたいと思っています。
中途半端なことはしたくない。
お金をいただく以上、
期待には、誠実に、全力で応えたい。
あの小籠包のときに知った
「お金をもらう重み」は、
今も、施術の一回一回に生きています。
治す人ではなく、
治れる身体に戻す人として。
本気で悩む人と、
本気で向き合うために、ここにいます。
鍼灸師になったきっかけ
私はもともと、
料理で人を笑顔にしたいと思い、小籠包づくりに打ち込んでいました。
でも次第に、自分自身が体調を崩すことが増えてきました。
「人を喜ばせる仕事は素敵だ。
でもそれは、“自分が健康であること”が前提なんだ。」
そう強く感じるようになりました。
そこから、健康に関わる仕事がしたいと思い、
管理栄養士を目指しました。
けれど、専門学校には不合格。
本当にこのままでいいのか。
自分の進んでいる道は正しいのか。
何度も立ち止まって考えました。
その頃、父が毎週のように鍼灸院に通っている姿を見ていました。
正直、最初は疑問でした。
「なぜ、毎週行く必要があるんだろう?」
「その場では楽になるのに、
根本は変わっていないんじゃないか?」
でも同時に、
“通い続けてでも整えたい何かが、身体にはあるんだ”
ということも、強く感じました。
・なぜ不調は繰り返すのか
・なぜ楽になっても、また戻るのか
・本当に変えるべきものは何なのか
それを、自分の手で確かめたい。
そう思ったことが、
鍼灸の道に進むきっかけでした。
そして、今の私の仕事観を決定的に作った出来事があります。
それが、小籠包教室での経験です。
あるとき、広島から新幹線に乗って、
わざわざ来てくれた生徒さんがいました。
小籠包は、
中のスープ(ゼラチン)が多いほど、包むのが難しくなります。
私は「まずは包めるようになってほしい」と思い、
あえてスープの量を減らしました。
結果、包めるようにはなった。
でも、その方は
「スープがあふれなかったこと」に
がっかりして帰っていきました。
その瞬間、
私は初めて、
**“お金をいただくことの重さ”**を突きつけられました。
その人は、
お金だけじゃなく、
時間も、労力も、期待も、
“人生の一部”を使って、私のところに来てくれていた。
それなのに私は、
「失敗させたくない」という
自分の都合を優先して、
相手が本当に求めていたものから
少しズレた選択をしてしまった。
そのズレが、
人の期待を、簡単に裏切ってしまった。
このとき、はっきりわかりました。
お金をもらうということは、
“作業の対価”をもらうことじゃない。
その人の
・時間
・期待
・人生の一部
を、預かるということなんだ、と。
中途半端な気持ちでやる仕事は、
相手の人生の一部を、雑に扱うことと同じなんだと。
だから私は、
人の身体に関わる仕事では、
絶対に中途半端なことはしたくないと思っています。
その場だけ楽にする。
とりあえず何かをする。
流れ作業で“それっぽいこと”をする。
それは、
来てくれた人の
時間とお金と期待を、
軽く扱うことになる。
だから、私はまず評価します。
・なぜ戻るのか
・なぜ治りきらないのか
・何が回復を邪魔しているのか
それを見極めて、
本当に必要なことだけを選ぶ。
いらないことは、やらない。
“たくさんする”より、
“間違えずに選ぶ”ことの方が、
その人の人生に誠実だと思うからです。
治す人ではなく、
治れる身体に戻す人として。
人の人生の一部を預かる仕事だからこそ、
私は今日も、
本気で一人ひとりと向き合っています。